どのようにして無敵の人は生まれるか

今朝、川崎市で通り魔による殺傷事件がありましたが、一部のネットではこれがいわゆる“無敵の人”の犯行だと言われています。自分も全く同感です。

無敵の人とは、逮捕によって失う恋人や職などを一切所有していない人、すなわち引きこもりのことです。

一見、無敵とは対極な存在のようにも思えますが、このような人々は社会に対する怨念や憎悪、復讐心などのルサンチマンを募らせています。もし、それがふとしたきっかけに爆発した場合、どうなるでしょうか。

爆風が内側に向かった場合は自殺をしますが、外側に向かった場合には、今回のような無差別殺人などの犯罪が発生することになります。常に生き地獄のような生活をしている彼らにとって、むしろ死刑は願ったり叶ったりなのです。このように死を恐れず法に縛られないという点が、彼らが無敵と呼ばれる由縁です。

無差別殺人を犯した無敵の人というと、秋葉原通り魔事件の加藤智大や、新幹線殺傷事件の小島一朗などが挙げられます。どちらも、犯行の動機として社会に対する恨みがあったと供述しています。

では、我々は無敵の人による無差別殺人の再発をどのように防げばいいのか、という話ですが、自分は、精神障害者などの社会不適合者に対する理解と支援を深めることが最優先だと思います。

現在、国内には100万人以上の引きこもり、つまり大勢の無敵の人予備軍が暮らしていますが、引きこもりになる原因で一番多いのが、精神疾患により引きこもることを余儀なくされる例なのです。厚生労働省からも、引きこもりの80%が何らかの精神疾患を持っているという調査結果が出ています。

ここで重要なのが、「誰しも精神障害者になりうる」という点です。精神疾患は脳機能の異常によるものであり、未だ原因が解明されていません。ですから、脳がある動物なら誰しも精神疾患になる可能性があるということです。

しかし、現在の日本では依然として精神疾患に対する偏見が拭いきれていませんし、支援制度も整っていません。つまり、運悪く精神を病んで引きこもってしまったら、その時点で社会復帰の可能性は著しく低いということです。

今回の事件に限らず、凶悪犯を「精神異常者」と呼ぶ人は多いでしょう。仰る通りで、とっくに要因は分かっているはずなのです。そういった社会に進出できない人々への理解と手厚いサポートが、社会秩序の維持にも繋がるということです。

引きこもりが抱えるルサンチマンについては、このサイトが分かりやすいかと思われます。

https://note.mu/snmmde/n/nd4a39f1c72f3 

これが、“底辺”と呼ばれる、競争社会の産物です。彼らの内に秘める炸薬は日に日に増大してゆき、いずれ爆発することでしょう。ですから、勝ち組の皆様はどうか彼らを無下にすることなく、点火させないよう配慮してあげてください。今回の報道を見た人の中には、被害者に同情するだけでなく、加害者に同情する人がいるということを、くれぐれもお忘れなく。